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【CD聴く】加藤和彦 / うたかたのオペラ ~バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ三部作 #加藤和彦 #うたかたのオペラ #KazuhikoKato #LOperaFragile

バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)
(2014/03/20)
リットーミュージック出版部

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加藤和彦/うたかたのオペラ
うたかたのオペラ


『うたかたのオペラ』L'Opera Fragile 1980年9月25日
全曲作詞:安井かずみ、作曲:加藤和彦(特記あるもの除く)
1. うたかたのオペラ L`OPERA FRAGILE
2. ルムバ・アメリカン RUMBA AMERICAN
3. パリはもう誰も愛さない PARIS, YESTERDAY
4. ラジオ・キヤバレー RADIO CABARET
5. 絹のシャツを着た女 LADY IN A SILKEN SHIRT

6. Sバーン S-BAHN (作曲:加藤和彦)
7. キャフェ・ブリストル CAFE BRISTOL
8. ケスラー博士の忙しい週末 DOCTOR KESSLER'S BUSY WEEKEND
9. ソフィーのプレリュード SOPHIE'S PRELUDE
10. 50年目の旋律 FIFTY YEARS THEME

★ボーナス・トラック
11. おかえりなさい秋のテーマ(絹のシャツを着た女) LADY IN A SILKEN SHIRT

All Songs Composed & Arranged by Kazuhiko Katoh
All Lyrics Written by Kazumi Yasui
Produced by Kazuhiko Katoh

Recorded at Hansa "By The Wall", W.Berlin, July `80

MUSICIANS

Kazuhiko Katoh - Vocal, Guitar, Electronics
Kenji Omura - Guitar, Zoo
Haruomi Hosono - Bass, Moog, ULT Sound, Electronics, Percussions
Yukihiro Takahashi - Drums, ULT Sound, Percussions
Akiko Yano - Acostic Piano, Prophet5, Xylophone
Ryuichi Sakamoto - Acostic Piano, Prophet5
Toru Okada - Organ, Prophet5, Orchestration
Nobuyuki Shimizu - Prophet5, Orchestration
Hideki Matsutake - Synthesizer Programming
Nanako Satoh - Vocal
Kouichi Makigami - Voice
Gunter Melde - Strings
Heinz von Hermann - Saxophone
Yukihiro Takahashi, Haruomi Hosono & Ryuichi Sakamoto appears through the courtesy of Alfa Records.
Toru Okada appears courtesy of Crown Records.
Nanako Satoh appears courtesy of Invitation/Victor Musical Industries Inc.
Koichi Makigami appears courtesy of Toshiba/Emi.
Akiko Yano appears courtesy of Yano Music/Japan Record.

 僕が初めて買った加藤和彦のレコード。と言うか、アナログ・レコードとしてはこれしか買っていません。「パパ・ヘミングウェイ」は貰い物だし。そのせいか、やたら思い入れがあります。とにかく買った当時、のめり込むように聴きまくったのです。東西冷戦の象徴「ベルリンの壁」の間際のスタジオで録られたアルバム、と言うのは、どこから仕入れた情報とも知れずに当時から知っていたような気がします。録音場所の影響は確かにあるのでしょう、アルバムの印象としては、とにかく「重い」。打ち沈むような重さがあります。しかし、その重さに中毒的に入り込んで聴いていたのです。一つには、どの楽曲も旋律が明快で分かりやすかったからというのがあるでしょう。加藤はメロディ・メーカーとして優れていると思いました。そしてもう一つに、当時は明に気づいてなかったけど、矢野顕子のピアノの存在が大きいのではないでしょうか。彼女のピアノが、楽曲に躍動感を与える役割を果たしており、全体的に沈みがちな曲調が多いこのアルバムを、どん底からうまく浮かせているという気がします。そこは絶妙なバランスが取れていて、軽すぎても浮いてしまうし、さりとて躍動感がなければひたすら沈んでしまう。ちょうどその間を縫っていっている。ピアニストとして稀有な人だと思えます。あるいは加藤のバランス感覚が彼女にそういうピアノを弾かせたのかもしれませんが…。
 その矢野のピアノの見事さは、アルバムの一曲目を飾るタイトル曲を聴けば即座にわかります。もともとが奔放(ほんぽう)な演奏をする人らしいですが、ここでは加藤の意図しているであろうサウンドの枠組みをよく理解し、それに沿ったうえで自身の奔放な演奏を活かしています。(これで矢野の魅力に目覚めて、彼女のレコードを買い漁った、とかになれば話はさらに膨らむんだけど、残念ながら、そうはなりませんでした。(^_^; 流石に“春咲小紅”はテレビで見たけどね。)
 「トノバンごめん、教授が急病でベルリンに行けなくなった。代わりにあっこちゃんが行ってくれるって。」(トノバン:加藤和彦、教授:坂本龍一、あっこちゃん:矢野顕子。)マネージメントとのそんな会話があって矢野顕子の参加が決まったらしいです。なんとも一期一会的な話ですね。もし坂本龍一がそのまま参加していたら、このアルバムはこの形ではなかったはず。いやまぁ、それはそれで興味深いものに仕上がっていたとは思いますが。
 そんな「もし」を想像させる楽曲がアルバムに一曲含まれています。“絹のシャツを着た女”で、この曲は化粧品のCMのために先行して東京で録音、発表された曲。前シングルの“ソルティ・ドッグ”の後くらいになります。メンバーも“ソルティ・ドッグ”同様、YMO(+大村憲司)。矢野は参加していないのです。当初の予定ではこのメンツでベルリンに行く予定でした。前述のとおり坂本の急な体調不良でそれはかなわなかったのですが。
 だから、このアルバムの中でもこの曲だけ肌合いが違う。…と、絵に描いたような論評ができれば綺麗にまとまるのかもしれないけど、そうも行かないです。ピアノの音が前に出ていないせいもありますが、アルバム全体の中で違和感無く収まっている。もちろん、シングルとして発売されただけあって、ひときわコマーシャルな楽曲ではあるのですが、基本はマイナーキーだし、なんというか、こう言う「鬱の美」みたいなものにこの時期の加藤はとり憑かれていたのではないか。前のアルバムの「パパ・ヘミングウェイ」にもそんな曲が含まれてました。と言うか出だしがいきなり“スモール・キャフェ”で重く始まっていた訳ですが。その時も書きましたが、ワーナー三部作は全てマイナーキーの曲で始まっているというのも何か象徴的かもしれない。この曲の矢野ヴァージョンがもしあったら、比較には好適なのですが…。無いんだろうなぁ、多分。いやわかんないけど。とは言え、そんな想像をたくましくしたくなるトラックではあります。ともあれ、このアルバムでの好演が加藤の覚えにめでたかったのでしょう、次作の「ベル・エキセントリック」にも矢野は参加することになります。
 もちろん、このアルバムの聴きどころは矢野の参加だけではありません。前述したとおり、一曲一曲が良く出来ていて、捨て曲が無いです。あえて言えば、遊びで作ったのであろう、インストの“Sバーン”位ですが、これはこれで注意深く聴けば面白かったりするから一筋縄ではいかない。(この曲に関してはちょっとした私的ないたずらの挿話があるのですが、それは後述することにしましょう。)良いアルバムの条件に緩急のバランスが取れていると言うことがあると思いますが(クリムゾンのアレみたいに急緩緩カンカン、みたいなのもあるが(^_^;)、この作品も例外ではないです。アップテンポの“ルムバ・アメリカン”と“ラジオ・キヤバレー”、美しいバラードの“キャフェ・ブリストル”この振幅の差が名盤の証とも言えるでしょう。しかし、繰り返して言いますが、このアルバムは「重い」。明快なメジャー・キーなのは“ソフィーのプレリュード”くらいではないか。それだけに、後半でこのゆったりした、佐藤奈々子の美しく艶っぽいヴォーカルをフィーチュアした楽曲が出てくると、ほっと一息つきたくなります。最後をシリアスな“50年目の旋律”で締めているので、アルバムとしての重心はブレていないわけですが。

 さて、“Sバーン”の私的な思い出を蛇足的に付け足してこの項を終わらせることにしましょう。
 実は、この曲を「YMOの新曲だ」と偽って校内放送でかけたことがあるのです。当時僕は放送部に所属する高校生でした。このアルバム発売時は一年生だったんだけど、選曲とかに口出しできるようになったのは二年になってからだったと思うから、実際にかけたのは二年になってからだったのかな。もう、記憶があやふや。(^_^;
 この曲には、確かにイエロー・マジック・オーケストラのメンバーが参加してはいます。ベルリンのメンバーは、高橋幸宏(ドラムス)と細野晴臣(ベース)。それにYMOのサポートをしていた大村憲司(ギター)と矢野顕子(キーボード類)です。坂本龍一がいない以外はほぼYMOではあるのです。
 しかし、この前衛的とも言える即興的な楽曲(と言って良いのかどうか解らないが)をYMOの作品と強弁するのは、なんぼなんでもいたずらが過ぎました。このことで直接誰かに叱られたりはしなかったのですが、この曲を聴いたミキサー役のM藤君には「こんなのがYMOの新曲なら、もうYMOは聴きたくないな」と言われました。この当時のYMOは、「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァ」でブレイク済み。最初の世界公演を終わらせ、その模様を収めたライヴ・アルバムの「公的抑圧」がオリコン1位になり、日本中がこの新しい音楽に戸惑いながらも夢中になっていた時期です。確か、スネークマン・ショーのギャグとコラボした「増殖」も話題になっていた頃だと思う。いわば、「ポップな」YMOの最後期にして最興期でした。だから彼らが“Sバーン”みたいな曲を演るとは、おそらくほとんどの人が思っていなかったはずです。しかし、翌年春に、それまでとは全く趣の違うノイジーな「BGM」を発表する事になるのでありました。
 加藤とYMOとのコラボは、双方の動きを睨みながら聴くと、なかなか面白いです。そして、次作、ワーナー三部作の掉尾となる「ベル・エキセントリック」ではついにYMOの三人が揃うのですが…。

 p.s.ボートラの“おかえりなさい秋のテーマ”は、“絹のシャツを着た女”のシングル・ヴァージョンですが、テイク自体は同じです。ミキシングがちょっと違っていて、ボートラの方はシングルらしく、ヴォーカルがON気味になっています。

■加藤和彦日記一覧



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 音楽好きの禿オヤジです。戦闘機もすき。♀アイドルも好き。そんな私です。
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 まぁ、大体半年で500円くらいの儲けですかねぇ…。

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