【CD入手】ロッド・スチュワート/ネヴァー・ア・ダル・モーメント from ヴァーティゴ/マーキュリー・イヤーズ(5CD) #RodStewart #NeverADullMoment
ネヴァー・ア・ダル・モーメント(1972)
1. トゥルー・ブルー True Blue (Rod Stewart, Ronnie Wood) – 3:32
2. ロスト・パラガヨス Lost Paraguayos (Rod Stewart, Ronnie Wood) – 3:57
3. ママ・ユー・ビーン・オン・マイ・マインド Mama You Been on My Mind (Bob Dylan) – 4:29
4. イタリアン・ガールズ Italian Girls (Rod Stewart, Ronnie Wood) – 4:54
5. エンジェル Angel (Jimi Hendrix) – 4:04
6. 間奏 Interludings (Art Wood) – 0:40
7. ユー・ウェアー・イット・ウェル "You Wear It Well (Rod Stewart, Martin Quittenton) – 4:22
8. アイド・ラザー・ゴー・ブラインド I'd Rather Go Blind (Billy Foster, Ellington Jordon) – 3:53
9. トゥイスティン・ザ・ナイト・アウェイ Twistin' the Night Away (Sam Cooke) – 3:13
Personnel
Rod Stewart – vocals, acoustic guitar
Ronnie Wood – electric, acoustic, slide and pedal steel guitars, bass
Ronnie Lane – bass on "True Blue", "I'd Rather Go Blind" and "Angel"
Micky Waller – drums
Kenney Jones – drums on "True Blue", "I'd Rather Go Blind" and "Angel"
Ian "Mac" McLagan – organ, piano
Neemoi "Speedy" Aquaye – congas
Pete Sears – piano, bass
Brian – chest piano
Spike Heatley – upright bass
Dick "Tricky Dicky" Powell – violin
Martin Quittenton – acoustic guitar
Gordon Huntley – steel guitar
Lindsay Raymond Jackson – mandolin
Arrangeables on "Twistin' the Night Away" by Jimmy Horowitz
Released 21 July 1972
Recorded March–May 1972 at Morgan Studios and Olympic Studios, London
Never A Dull Moment / Rod Stewart
なにゆえここまで愚直に胸に入ってくるのでしょうか、ロッドの歌声は。もう、言葉すら出てきません。いや、もちろん、用意はしていました。
「ヴァーティゴ/マーキュリー時代のロッドは、泥臭さと躍動感が同居したノリで、聴いていて気持ちいい。冒頭のやる気に溢れたロッドの歌声だけで、もう、OK。“天使”の崇高さから“ツイストで踊り明かそう”の楽しさまで、こんなに振幅の激しい表現をモノにできるとは大した歌い手だと思います。表現の仕方が、音楽の文脈にきちんと沿っているのが素晴らしいです。単純に感情を高ぶらせるのではなく、音楽を感じて、それに従っているのでしょうね。」
なんて。だけど、こんなの、ただの修辞法に過ぎない。本質はこんな事ではない。それこそ、百万言を費やすよりも、「みんな!少しでいいから耳を傾けてくれ!」と言う事なのですが、つまり、本当に胸を打つものは、言葉に出来ないのです、少なくとも、僕のような凡人には。それが許されるのは、それこそ、真に才能を持ち努力をした創造者だけなのでしょう。
優れた芸術というものは(もちろん大衆芸術も含んだ上での話なのですが)、単に言葉に出来ないだけでなく、合理的な分析を簡単には受け付けないようなところがあります。それこそ最先端の科学技術者たちは、モーツァルトの才能をコンピューター(あるいはAIか)で再現するのに腐心しているのでしょうが、出てくるのは今のところ表層的に似ているだけのもののようです。本質的な創造性とか、それに伴う表現力みたいなものは、今しばらくは人力で行かざるをえないようです。
勘違いしてほしくないのですが、別に、リズムセクションは打ち込みじゃ駄目とか、ヴォーカルにオート・チューンを使うなとか言うようなアナクロなことを言っているのではありません。出てくる音が素晴らしければどんな小細工もOKなのだと、僕は思っています。大体、そんなのいちいち否定していたら、ビートルズが芸術の域にまで高めた多重録音やテープ操作などのレコーディング技術まで否定しなくてはならなくなるじゃないですか。
あと、僕は基本的に科学については楽観主義者です。今は解き明かせなくてもいつかは必ず、と、思っているのです。
ちょっと話がそれちゃった。
要は、センス、感性、なんだと思います。もちろん技術も大事なのですけれども、ロック・ミュージックの場合は単純に技術力があればいいというものでもないという所が難しい。と言うか、クラシックやジャズみたいに「技術がなければ話にならん」と言う時の技術レヴェルが、ロックの場合はずいぶん低いのだと思います。(だからよくわかってないジャズ・ファンやクラシック・ファンに馬鹿にされたりもするのですが。)ジャズやクラシックの場合に要求される技術と感性が五分五分だとしたら、ロックの場合一分九分で感性が九分だと思うんです。それくらいロックというのは直情的な表現芸術なのです。
もう一つ勘違いされやすいのに「心がこもっていればいいんでしょ」って言うのがあります。とんでもないです。やってる当人は心がこもっているつもりでも、出て来る表現はクズ、なんてのはいくらでもありますからね。やっぱり必要なのはセンス/感性なのですよ。
そういったことを踏まえて、もう一度、ロッドのこのアルバムに向かい合ってみましょう。
素晴らしい。
それだけでいいではないですか!。
なんか、ロッドのこのアルバムでこういう褒め方してしまうと、今までの日記でグダグダ書いていたのは何だったんだ、と、言われそうだけど、まぁ、何と言うか、それはそれ、これはこれ、なんです。別に今まで聴いてきたものが今回のロッドのものより劣っているとか言うことではありません。上手く言えませんけど、言葉にできる余地が有ったということです。今回はまるきり言葉にできる手がかりがなかったのでこういう日記になりました。毎回「素晴らしい!」だけで終わらせていれば楽は楽なのですが、それでは書く方もつまらないしね。…誰だ今、「読む方はそれで構わんぞ」とか言いやがったのは!(笑)。
最後に資料的な戯言を幾つか添加してこの項を終わりにしましょう。
何曲か(“トゥルー・ブルー”“天使”“アイド・ラザー・ゴー・ブラインド”)はまるきりフェイセスのメンバーで演っているのですが、違和感なく収まっています。次のフェイセス・アルバム『ウー・ラ・ラ』で決定的に関係が悪化することを思うと切ないですね。
“間奏 Interludings”の作者の、アート・ウッドと言うのは、ロン・ウッドの兄です。一緒に音楽活動をしていたこともあるようです。残念ながら既に故人。いや、このアルバムの時点では未だ生きていましたが。
お得意のディラン・カヴァーは、今回は『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』のアウトテイクの楽曲から。1964年当時未発表だったこの曲が、1972年の時点でどの程度広まっていたのか、筆者は寡聞にして知らないのですが、ジョーン・バエズが1965年に発表したアルバム『フェアウェル・アンジェリーナ』に“わが心のダディ”として収録されていたものがよく知られていたのではないでしょうか。そこらへん知りたくて英wikiに当たって見たのですが、僕の英語力ではさっぱりでした。(;_;)
来年の1月25日にヴァーティゴ/マーキュリー時代の作品6作が国内盤紙ジャケで再発されますが、幾つかのアルバムはボーナス・トラック付きの仕様のようです。ボートラ自体は2009年に紙ジャケで出ていたものと同じですが、その時買い逃していた人には悩ましい選択となりそうですね。僕は…どうしようかな。(^_^;
ヴァーティゴ/マーキュリー・イヤーズ (紙ジャケット仕様,6CD)
■フェイセス/ロッド・スチュワートの日記一覧
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