FC2ブログ

【CD聴く】セロニアス・モンク・アンド・ジェリー・マリガン / マリガン・ミーツ・モンク #TheloniousMonk #GerryMulligan #MulliganMeetsMonk


■目次
●基本情報(ジャケット画像、曲目など)
●Youtube音源引用
●この日記シリーズの前置き
●バリトン・サックスの名手、ジェリー・マリガン
●楽曲初出について
●名手の銘酒
●軽く今後の予定
 
 
●基本情報(ジャケット画像、曲目など)

 ジャケ画をクリックするとアマゾンのページが開くよ!。
セロニアス・モンク・アンド・ジェリー・マリガン / マリガン・ミーツ・モンク


1. ラウンド・ミッドナイト "'Round Midnight" (Monk, Cootie Williams, Bernie Hanighen) - 8:29
2. リズマニング "Rhythm-a-Ning" (Monk) – 5:19
3. スウィート・アンド・ラヴリー "Sweet and Lovely" (Gus Arnheim, Jules LeMare, Harry Tobias) – 7:17

4. デサイデッドリー(テイク4) "Decidedly" (Gerry Mulligan) – 5:54
5. ストレート、ノー・チェイサー(テイク3) "Straight, No Chaser" (Monk) – 7:00
6. アイ・ミーン・ユー(テイク4) "I Mean You" (Monk, Coleman Hawkins) – 6:53

7. デサイデッドリー(テイク5) (MONO) (ボーナス・トラック) – 6:37
8. ストレート、ノー・チェイサー(テイク1) (ボーナス・トラック) – 5:29
9. アイ・ミーン・ユー(テイク1) (ボーナス・トラック) – 6:21
10. アイ・ミーン・ユー(テイク2) (ボーナス・トラック) – 6:30

Thelonious Monk – piano
Gerry Mulligan – baritone saxophone
Wilbur Ware – double bass
Shadow Wilson – drums

Released 1957
Recorded August 12, 1957 (1, 3, 4, 7)
Recorded August 13, 1957 (2, 5, 6, 8~10)
Reeves Sound Studios, New York City


■目次に戻る


 
●Youtube音源引用

マリガン・ミーツ・モンク / セロニアス・モンク・アンド・ジェリー・マリガン (全曲+ボーナス・トラック)


■目次に戻る

 
●この日記シリーズの前置き

 セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィスの音源を時系列で聴いていくという、けっこう無謀なことをやっているこの日記シリーズ。

 今回は、前回の『モンクス・ミュージック』の日記に引き続いてのモンク編。

 二人の個性的なジャズメンによって行われたセッションです。

 ピアニストで、優秀な作曲家でもある黒人のセロニアス・モンクと、バリトン・サックスを華麗に吹奏し編曲者としても優秀な白人のジェリー・マリガン。

 相対する二人の音楽は火花を散らすのか、それとも絶妙な調和を見せるのか!?。

■目次に戻る

 
●バリトン・サックスの名手、ジェリー・マリガン

 本題に行く前にちょっと蛇足的な解説をば。

 サックスには音階の幅によっていくつかの種類があります。僕が知っているのは4種類ですが、本当はもっとあるかもしれません。高い音域から順に、ソプラノ、アルト、テナー、そしてバリトン、となります。

 アルトやテナーは花形とも言える楽器で、優れた奏者がたくさんいます。ソプラノを専門で吹く人というのは僕は寡聞にして知りませんが、テナーとの持ち替えで吹く人なら、ジョン・コルトレーンやウェイン・ショーターと言った大物がいます。

 それに比べるとバリトン・サックスと言うのは実に地味な存在です。本来、アンサンブルの低音域を支えるための楽器であって、ソロをとるための楽器ではないので、当然といえば当然です。

 しかし、マリガンは、そのバリトンを、いとも易く、もとからソロをとるための楽器であったかのように操(あやつ)ります。難しい楽器を演ったからエライと言うことは無いのですが(少なくとも純粋な聴き手にとっては演奏者側の技術論は全く意味が無い)、マリガンはその上で、見事に音楽として成り立つ吹奏を聴かせています。そこが素晴らしい。

■目次に戻る

 
●楽曲初出について

 収録されている楽曲は大部分がモンクの自作曲。新曲は“リズマニング”のみで、後は旧曲の再演です。それでマンネリな感じにならないのがこの時期のモンクのすごいところ。もちろんマリガンも一役買っているでしょう。

 “ラウンド・ミッドナイト”は1947年もしくは1948年にモンク自身の初録音があり、『ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.1』に収録されました。
 “スウィート・アンド・ラヴリー”は1930年代に作られたスタンダード・ナンバー。モンクは1952年の『セロニアス・モンク・トリオ』でも採り上げていました。
 “デサイデッドリー”はこのアルバム唯一のマリガンの曲。以前に吹き込みがあるかどうかはちょっとわかんない。(^_^;
 “ストレート、ノー・チェイサー”も有名なモンクの曲で、1952年の『ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.2』で発表。
 “アイ・ミーン・ユー”はテナー・サックスの大御所コールマン・ホーキンスとの共作ですが、これも初出はちょっとわかりませんでした。モンクは1940年代にホーキンスの伴奏を務めていた時期があるので、その頃に作った曲かも。

■目次に戻る

 
●名手の銘酒

 モンクのピアノはかなりクセがありますが、マリガンはそれに飲み込まれること無く、彼らしく旋律的なフレーズを吹いています。それがちゃんとモンクとのつばぜり合いになっているのが面白く、また、聴きどころであると言えるでしょう。

 CDに付けられた解説を読んで気づいたのですが、マリガンがソロをとっている後ろで、モンクがしばしばピアノを休めている箇所があります。そこでは彼もマリガンのソロに聴き惚れていたのではないでしょうか。
 まぁ、ピアノが四六時中鳴ってなきゃだめだ、なんて、誰が決めた法律と言うわけでもないですからね。

 そこらへんはマリガンもわかったもんで、モンクがソロを弾いている時、余計な音を出さないようにしているところもあったりします。

 マリガンの吹くサックスは温かみがあり、とてもまろやかな音色で、ふくよかな旋律を奏でており、聴いていて気持ちがいいです。

 モンクはいつもの調子でピアノを叩きまくっているんだけど(笑)。その落差がかえって面白みを醸(かも)し出しています。うっかり「ミスマッチ」と言ってしまいそうになりますが、むしろここでの二人は、ばっちりマッチしていますね!。

 なので、冒頭の問いかけの答えは「火花をちらしつつも調和している」となります。

 ところで、冒頭の“ラウンド・ミッドナイト”、最初に聴いた時はモンクとマリガンの二重奏かと思っていましたが、改めて聴くと、ベースも鳴っているような気がしますね。この曲に限らず、ベースやドラムスは控えめなところが、このアルバムでは好結果となっています。

 二人の名手の手さばきを銘酒に酔うが如く味わいましょう!。

■目次に戻る

 
●軽く今後の予定

 さて、この日記シリーズ、次に採り上げるのはコルトレーンで、しばらくは彼の音源が続きます。なかなかマイルスが出てこない。(^_^;

 まぁ、マイペースでぼちぼちやってますんで、お暇な時にでも遊びに来てやってくださいませ。

■目次に戻る





■セロニアス・モンク日記
 
 
 
 
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

【CD聴く】セロニアス・モンク / Monk's Music - from The Complete Riverside Recordings(15CD Import) #TheloniousMonk #MonksMusic

■目次
●基本情報(ジャケット画像、曲目など)
●Youtube音源引用
●モンクとコルトレーンの共演作
●活気のある演奏者たち
●注目のコルトレーンは
●次回のモンク/マイルス/コルトレーン日記の予定





●基本情報(ジャケット画像、曲目など)

 ジャケ画をクリックするとアマゾンのページが開くよ!。
セロニアス・モンク / Monk's Music

モンクス・ミュージック / セロニアス・モンク Monk's Music / Thelonious Monk
01. Abide with Me (Henry Francis Lyte / William Henry Monk)
(June 26, 1957) 0:54
02. Well, You Needn't (June 26, 1957) 11:26
03. Ruby, My Dear (July 1957) 5:28
04. Off Minor (take 5) (June 26, 1957) 5:16
05. Epistrophy (Thelonious Monk / Kenny Clarke)
(June 26, 1957) 10:47
06. Crepuscule With Nellie (take 6) (June 26, 1957) 4:42

All compositions by Thelonious Monk except as indicated

Thelonious Monk - piano #2-6
Ray Copeland - trumpet #1-2, 4-6
Gigi Gryce - alto saxophone #1-2, 4-6
Coleman Hawkins - tenor saxophone #1-6
John Coltrane - tenor saxophone #1-2, 4-6
Wilbur Ware - double bass #2-6
Art Blakey - drums #2-6
June 26, 1957


モンクス・ミュージック関連の別テイク / セロニアス・モンク Monk's Music Alternate / Thelonious Monk
01. Blues for Tomorrow (Gigi Gryce) (June 25, 1957) 13:32
02. Nutty (July 1957) 6:39
03. Trinkle, Tinkle (July 1957) 6:40
04. Ruby, My Dear (July 1957) 6:20
05. Well, You Needn't (opening) (June 26, 1957) 1:28
06. Off Minor (take 4 - alternate) (June 26, 1957) 5:16
07. Epistrophy (fragment) ( Thelonious Monk / Kenny Clarke)
(June 26, 1957) 1:48
08. Crepuscule With Nellie (take 1) (June 25, 1957) 4:36
09. Crepuscule With Nellie (breakdown) (June 25, 1957) 1:03
10. Crepuscule With Nellie (take 4,5) (June 26, 1957) 4:48

All compositions by Thelonious Monk except as indicated

#1, #5-10
Thelonious Monk - piano (#5-10)
Ray Copeland - trumpet
Gigi Gryce - alto saxophone
Coleman Hawkins - tenor saxophone
John Coltrane - tenor saxophone
Wilbur Ware - double bass
Art Blakey - drums
June 25, 26, 1957

#2-4
Thelonious Monk - piano
John Coltrane - tenor saxophone
Wilbur Ware - double bass
Shadow Wilson - drums
probably July, 1957

■目次に戻る

 
●Youtube音源引用

モンクス・ミュージック / セロニアス・モンク Monk's Music / Thelonious Monk


モンクス・ミュージック関連の別テイク / セロニアス・モンク Monk's Music Alternate / Thelonious Monk


■目次に戻る

 
●モンクとコルトレーンの共演作

 さて、モンク、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンの音源を時系列に追っていくというプロジェクトをやっているわけですが。
 今回はセロニアス・モンク(ピアノ)の、名盤の誉(ほま)れ高き『モンクス・ミュージック』です。

 今回は『The Complete Riverside Recordings』からリッピングして上記のような曲目曲順でCD-Rに焼いて聴いているのですが、一般的には『モンクス・ミュージック』と『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン』の2枚のCDでのものが馴染みがあるでしょう。

・セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン
セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン
1. ルビー、マイ・ディア (July 1957)
2. トリンクル、ティンクル (July 1957)
3. オフ・マイナー (June 26, 1957)
4. ナッティ (July 1957)
5. エピストロフィー (June 26, 1957)
6. ファンクショナル (April 16, 1957)

 “ファンクショナル”は、以前『セロニアス・ヒムセルフ』の時に紹介したので、今回は割愛。と言うか、この曲にジョン・コルトレーン(テナー・サックス)は演奏に参加していないよ、モンクのピアノ・ソロだよ。(^_^;

 なお、どちらのアルバムにも入っていない“Blues for Tomorrow”は、モンクは参加していないようです。なぜそんなテイクがセロニアス・モンク名義の『The Complete Riverside Recordings』に収録されているのか不思議ですが、おかげで僕はコルトレーンの勢いのある吹奏を聴くことが出来ました。ありがとう、オリン・キープニュース。(リバーサイド・レコードのプロデューサー。)

■目次に戻る

 
●活気のある演奏者たち

 『モンクス・ミュージック』にもどりますが、冒頭の“アバイド・ウィズ・ミー”が、管楽器だけの、クラシック音楽のような響きの曲で、「おっ」と思わせます。
 しかし、2曲めの“ウェル・ユー・ニードント”からはいつもの妖(あや)しく愉快なモンクの世界。
 ちょっと人を喰ったような、それでいてどこかしら人懐(なつ)っこい。モンクの世界はこのアルバムでも変わりがありません。

 この2曲めの“Well, You Needn't”で、コルトレーンのソロの前に、モンクが「コルトレーン、コレトレーン!」と呼びかけるところがあります。
 ここでなぜわざわざ呼びかけたのか、ということで諸説あって、中でも傑作なのが「コルトレーンが居眠りしていたのでモンクが叱(しか)った」というもの。寝ぼけていたにしてはこの後のコルトレーンのソロが立派すぎるので、それはないだろうという気がします。
 単に演奏がノッてきたので、勢いで、次のソロ奏者のコルトレーンの名前を連呼したのだと思いますが、どうでしょうか。

 本編の“Ruby, My Dear”で見事なテナー・サックス・ソロを聴かせているのはコールマン・ホーキンス。(この曲のこのテイクではコルトレーンは参加していません。)実に堂々としています。勢いはあるけど、どこか神経質そうなこの時期のコルトレーンとは好対照だと思います。同じ曲をコルトレーンに吹かせた『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン』のテイクと比較してみればよくわかります。
 モンクとしては、ここではコルトレーンの勢いよりも、ホーキンスのたくましさのほうを良しとしたのでしょう。あるいはキープニュースの判断かもしれませんが…。

 また、アート・ブレイキーの豪快な叩きまくりが実に印象的です。僕は、基本的には手数の多いドラムスは好きではないのですが、ここでのブレイキーは爽快だと思います。なぜなのかよくわかりませんが、この叩きまくっているブレイキーを聴いていると、思わず笑みがこぼれてきそうになるのです。
 モンクとの前回のセッション(『アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ・セロニアス・モンク』のセッション)で、意気投合したのでしょうか、本当に気持ちよさそうに叩きまくっております。

■目次に戻る

 
●注目のコルトレーンは

 コルトレーンに注目するならば、『モンクス・ミュージック』本編よりも、『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン』に収録されている演奏のほうが適しているような気がします。ことに、“トリンクル、ティンクル”、“オフ・マイナー”、“ナッティ”の三曲は、管楽器がコルトレーンだけなので、じっくり彼の吹奏を聴くことができます。

 僕の日記で何度か引用していますが、これら三曲は、コルトレーンが「運命の1957年7月ファイヴ・スポットの啓示」を受けて格段の進歩を遂げた時期にあたる演奏となります。
 ただ、7月のいつに啓示を受けたのか明確ではない上に、この三曲の録音日付も曖昧なため、「啓示」の後なのか、前なのか、どうも判断がつきにくいのですが。
 ここでの勢いのある演奏からすると、啓示を受けた後だと思うんだけど、どうかなぁ。

■目次に戻る

 
●次回のモンク/マイルス/コルトレーン日記の予定

 とまぁ、聴きどころ満載のこのアルバム。個人的にはべた褒めした『ブリリアント・コーナーズ』に匹敵するのではないかと思っています。

 さて、次回のモンク/マイルス/コルトレーン日記ですが、再びモンクで、バリトン・サックス奏者のジェリー・マリガンと共演した異色作を聴いてみようと思います。
 あまり期待せずにお楽しみにしていてください!。(どっちやねん。(^_^;)



セロニアス・モンク / The Complete Riverside Recordings(15CD Import)
 国内盤等はこちらから。
The Complete Riverside Recordings(15CD Import)

■目次に戻る




■セロニアス・モンク日記
■ジョン・コルトレーン日記
 
 
 
 

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

【CD聴く】アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ・セロニアス・モンク (デラックス・エディション) #ArtBlakey #ThelouniousMonk #ArtBlakeysJazzMessengersWithThelouniousMonk

●目次
●基本情報
●Youtube音源引用
●絶頂期に向かうモンクとブレイキーの競演
●圧倒的なモンクの個性
●グリフィンを始めとするメンバーの好演
●アトランティック・レコード創立50周年記念盤

 
●基本情報
アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ・セロニアス・モンク



All compositions by Thelonious Monk except as indicated.

1. エヴィデンス Evidence 6:46
2. イン・ウォークト・バド In Walked Bud 6:39
3. ブルー・モンク Blue Monk 7:54

4. アイ・ミーン・ユー I Mean You 8:02
5. リズマニング Rhythm-A-Ning 7:20
6. パープル・シェイズ Purple Shades (Johnny Griffin) 7:48

7. エヴィデンス(オルタネイト・テイク) 5:30
8. ブルー・モンク(オルタネイト・テイク) 6:59
9. アイ・ミーン・ユー(オルタネイト・テイク) 7:34

Personnel
Art Blakey – drums
Bill Hardman – trumpet
Johnny Griffin – tenor saxophone
Thelonious Monk – piano
Spanky DeBrest – bass

Released Late April/early May 1958
Recorded May 14–15, 1957

●目次に戻る



 
●Youtube音源引用
Art Blakey's Jazz Messengers with Thelonious Monk +3


●目次に戻る


 
●絶頂期に向かうモンクとブレイキーの競演

 さて、モンク日記。
 前作『ヒムセルフ』が吹き込まれたのが1957年の4月5日~16日。その一ヶ月ほど後、この、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズとのコラボが実現しました。かの有名な『モーニン』が吹き込まれるのが1958年10月30日。気力、人気ともに上り調子であったであろう、ジャズ・メッセンジャーズであります。
 対するモンクが当時どのくらい人気があったのかは知らないのですが、前作『ヒムセルフ』は、ほとんどソロ・ピアノながら、名盤の誉(ほまれ)高し。このあと必殺の『モンクス・ミュージック』を発表することを思えば、こちらも気力は充実。
 そう言った上り調子の両者ががっぷり四つに組んだのがこのアルバムです。

●目次に戻る

 
●圧倒的なモンクの個性

 モンクの曲って、一聴して彼らしさが漂っている曲が多いのですけど、それは「この曲はモンクが書いた曲」であることをアイデンティファイ(特定、とでも訳しますかね)するのには充分なのですが、一方でそれらモンクの曲の中での、楽曲ごとのアイデンティファイはとても難しい(少なくとも僕にとっては)。どの曲もおんなじに聴こえてしまうのです。それはおそらく、モンク自身の個性が(良い意味で)強すぎるからだと、僕には思えます。
 そう言えば、オーネット・コールマンが現れて話題になった時に、モンクが「あんなの俺は昔から演ってたぞ」と言ってへそを曲げた、という都市伝説(*)があるのですが、いみじくも、オーネットもまた、モンク同様、「どの曲もおんなじ」に聴こえてしまう作曲家ではあります。
 では「モンクの曲」の特徴とは何でしょうか。まず感じるのが、予定調和とのズレ、言ってみれば、違和感でしょう。そして、にも関わらず、どこかしら人懐っこく、親しみやすく、愛らしく、時にはユーモラスでもあるのです。表面的な違和感からモンクを嫌っている人がいるとしたらそれはとてももったいない…!。とは言え、その「違和」もまたモンクの本質的なところでもあるので、避けて通るわけには行かないのですよね…。

 (*)モンクのオーネットに対する評価:この都市伝説のもととなる出来事があった時、モンクは控えめながらも「オーネットにはたしかに才能がある」と付け加えています。もっとも、彼にとっては些細な「才能」にしか映らなかったかも知れないのですが。…そして僕は、そんなモンクの音楽も、オーネットの音楽も、「とても好き」です。

 このアルバムでも、ほとんどがモンクの曲で締められており、言いようのしれぬ「モンク風味」を撒き散らしています。と言って、このアルバム用に用意されたモンクの新曲はないようです。全て過去作の再演。…かな?。(^_^; と思って念の為に調べてみたところ、“リズマニング”は当アルバムが初出のようですね。英ウィキペディアでは、この曲はは『マリガン・ミーツ・モンク』が初出、とありますが、これは議論の余地ありな気が。『マリガン~』が1957年8月に録音されその年のうちに発表されているのに対し、当盤は同年5月の録音なので、少なくとも収録はこちらのほうが早いです。ただ、こちらは翌1958年の春になってやっと発売されているので、その意味では確かに『マリガン~』より後と言う事になりますね。ややこしいな。(^_^;「初出(First apearance)」をどう捉(とら)えるかで解釈が変わってきますね。僕は録音した日付を重視したいのですが…。

 “楽曲名”初録音アルバム名(録音年)
 “エヴィデンス Evidence”Wizard Of The Vibes / Milt Jackson 収録 (1948年録音)
 “イン・ウォークト・バド In Walked Bud”Genius of Modern Music: Volume 1 収録 (1947年録音)
 “ブルー・モンク Blue Monk”Thelonious Monk Trio 収録 (1954年録音)
 “アイ・ミーン・ユー I Mean You”Wizard Of The Vibes / Milt Jackson 収録 (1948年録音)
 “リズマニング Rhythm-A-Ning”Art Blakeys Jazz Messengers With Thelounious Monk 収録 (1957年録音)

●目次に戻る

 
●グリフィンを始めとするメンバーの好演

 このアルバムでは燃える男のブローイング・テナーことジョニー・グリフィンがテナー・サックスを吹いています。後にモンクのコンボに彼が参加し二枚の傑作ライヴを残すことを思うと、ニヤリとさせられてしまいます。もちろん、この時点で既にモンクとの相性はバッチリなのでありまして、自由闊達に暴れまわるグリフィンが堪能できるのであります。♪
 グリフィンは、楽曲としても“パープル・シェイズ”を提供しているのですが、モンクの手にかかると、他の楽曲と違和感なく混ざりあうところが面白いですね。
 その他トランペットのビル・ハードマンも目立つのですが、決して金属的になりすぎない、朗々とした吹きざまはなかなかのものです。
 もちろん、所々でナイアガラ幕府、あいやナイアガラ瀑布のようなドラムロールで煽りまくるブレイキーのドラムスもグルーヴィーで最高です!。
 そして、そう言った華やかなフロント陣にまじり、一人穏やかに定速ビートでベースをスイングさせるデブレストが妙に愛おしかったりもします。

 
●アトランティック・レコード創立50周年記念盤

 僕が持っているCDはアトランティック・レコード創立50周年を記念してライノ・レコードから発売された「デラックス・エディション」の国内発売盤です。ボーナストラックが三曲ついています。だからどう、というわけでもないけど、単純に収録時間が長いのは嬉しいな、と(笑)。
 楽曲ごとの編曲の違いなどが分かるほど注意して聴いてはいないのですが、それでも、“エヴィデンス”の別テイク、モンクのピアノから始まるアレンジははっとさせられます。最終的にブレイキーのドラム連打から始まるテイクがマスターとされたのですが、これが入れ替わっていたら、アルバムの印象はまた変わっていたかもしれません。
 それにしても、この顔合わせの録音がアトランティック・レコードに吹き込まれたと言うのは、なぜなのでしょうか。この時期のモンクがリヴァーサイド・レコードにいたのに対し、ブレイキーは色んなレコード会社を渡り歩いていました。名盤『モーニン』をブルーノート・レコードから出した時も、そこに安住せずにすぐに別のレコード会社に吹き込みを行っていたようです。
 一応このCDには解説がついているんですけど、「なぜアトランティックなのか?」と言う回答は全く一切書かれていません。ウィキペディア見ても、英語版しかなくて、よくわかんないんですよね~。

●目次に戻る

 さて、拙文を閉じる時が来たようです。(ほっとするでしょ?(笑)。)最後にCDの解説書から、一文…ワン・エピソードと言うべきかな…を引いて締めとしましょう。

 モンクは、ミュージシャンたちにいつもひとつだけ基本的な指示を出していた。「美しく演奏してくれ。だが、その美しさには味わいがなければだめだ。」
 Monk did have one basic instruction to his musicians:"Play it with beauty,but it has to have beauty with smack."




■セロニアス・モンク日記

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

■セロニアス・モンク日記一覧

■セロニアス・モンク日記
2019/03/31 マリガン・ミーツ・モンク / セロニアス・モンク・アンド・ジェリー・マリガン
2018/12/31 Monk's Music
2017/11/12 アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ・セロニアス・モンク (デラックス・エディション)
2016/09/28 Thelonious Himself
2014/06/28 Brilliant Corners
2014/06/22 Plays Duke Ellington/The Unique
2014/04/19 Piano Solo(Solo On Vogue)
2014/01/30 ソニー・ロリンズ/コールマン・ホーキンス
2014/01/05 トリオ/クインテット
2014/01/01 The Complete Riverside Recordings(15CD Import)
2013/04/25 コンプリート・ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.1~3



●その他のジャズ日記
■マイルス・デイヴィス日記
■ジョン・コルトレーン日記



■ミュージシャン別日記一覧




テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

【CD聴く】セロニアス・モンク / Thelonious Himself - from The Complete Riverside Recordings(15CD Import) #TheloniousMonk #TheloniousHimself

セロニアス・モンク / The Complete Riverside Recordings(15CD Import)
 国内盤等はこちらから。
The Complete Riverside Recordings(15CD Import)

セロニアス・モンク / Thelonious Himself


Thelonious Himself / Thelonious Monk



1. April in Paris (E. Y. Harburg - Vernon Duke) 3:53
2. I Don't Stand a Ghost of a Chance With You (take 7) (Bing Crosby - Ned Washington - Victor Young) 4:24
3. Functional (take 2) (Monk) 9:21
4. I'm Getting Sentimental over You (Ned Washington - George Bassman) 4:07
5. I Should Care (take 3) (Paul Weston - Sammy Cahn) 3:16
6. 'Round Midnight (take 7) (Monk - Cootie Williams - Bernie Hanighen) 6:44
7. All Alone (Irving Berlin) 4:54
8. Monk's Mood (Monk) 7:55

April 5,1957 #6
April 12,1957 #1-5, #7
April 16,1957 #8
#8 John Coltrane - ts, Wilbur Ware - bass


Thelonious Himself Alternate / Thelonious Monk


1. I Don't Stand a Ghost of a Chance With You (take 5) 4:13
2. Functional (take 1 - alternate) 9:45
3. I Should Care (take 1) 3:31
4. Monk's Mood (false start) 0:59
5. I Should Care (take 2) 3:22
6. 'Round Midnight (in progress) 21:58

April 12,1957 #1-3, #5-6
April 16,1957 #4
#4 John Coltrane - ts, Wilbur Ware - bass


 ピアノ・ソロ作。“Monk's Mood”だけ、テナー・サックスとベースが入ります。世評では「名曲“ラウンド・ミッドナイト”の決定版が収録された名盤」との誉れが高いのですが、その世評に引きずられて、モンク初心者、ましてやジャズ初心者がいきなり聴いてはいけません。これは、モンクの作品としては、例外的な「難解作」なのです。
 モンクの演奏上の特徴としては、突っかかるような感じとか、不協和な音使いとかがあるんだけど、大抵の場合は、そこに類まれなユーモアが介在しています。しかしこの『ヒムセルフ』には、ユーモアがありません。シリアスなムードが全体を支配していて、正直とっつきにくいです。もちろん、初心者にも色んなパターンの人がいるから、一聴して「これは面白い!」と言える人もいるかもしれないけど、そういう人は稀ではないか、と思います。

 ここでの“ラウンド・ミッドナイト”は、なるほど悪くはないですが、ベストと言えるほどではないのでは?。少なくとも、僕は同じソロ作なら『ソロ・オン・ヴォーグ』での明朗なヴァージョンのほうが好きです。そして何よりも、モンクはホーン入りのコンボで真価を発揮します。ジョニー・グリフィンのテナーや、ジェリー・マリガンのバリトンとの共演など、名演はいくらでもあります。この盤にこだわる必要は一切ありません。

 そう言った虚飾を剥ぎ取って聴けば、このアルバムもそれなりに聴きどころはあります。特に、訥々(とつとつ)としたモンクの独特の奏法がよくわかるのは面白いと言えるでしょう。初心者には勧めないけど、ある程度ジャズを聴き込んで、モンクもそれなりに知った後だったら聴いてみてもいいと思います。(是非聴け、とは言わんが。(^_^;)

 “ラウンド・ミッドナイト(イン・プログレス)”は、同曲の制作過程を録音したもの。全行程なのかどうかは分からないけど、なかなか興味深い音源ではあります。現行盤のCDにはほぼ入っているので、聴くのは難しくないでしょう。ただ、音楽として面白いかどうかは…。(^_^;
 『コンプリート・リヴァーサイド・レコーディングス』のボックスには、他に5曲のアウト・テイクが含まれています。僕みたいなへなちょこにはちょっと真価がわかりかねますが(^_^;これらもそれなりに面白い聴き物となっています。

 僕はこのアルバムのベスト・テイクは、間違いなく“モンクス・ムード”だと思っています。ジョン・コルトレーンのテナー・サックスがいい味を出しています。このアルバムでのモンクはシリアスな海に沈んでいるわけですが、真面目人間のコルトレーンの糞真面目なサックスが実によくフィットしているのです。ドラムスなしの、ベースを従えた変速トリオ編成。このコンセプトで一枚通して作っていれば、ものすごい傑作ができたのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

 さて、モンク/コルトレーン/マイルスを、「だいたい」年代順に聴き進んでいくというこのプロジェクト、次回は、コルトレーンがサイドマンとして参加したアルバムになります。これもへなちょこな感想しか書けない予感が見え見えですが(^_^;なにとぞよろしくお願いしますです。


■セロニアス・モンク日記







テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

☆彡ふらんぼう

Author:☆彡ふらんぼう
 音楽好きの禿オヤジです。戦闘機もすき。♀アイドルも好き。そんな私です。
 なお、文中のCDやDVDなどのリンクはアフィリエイトになっていますので、「お前を儲けさせてやるなんてやなこった!」という方はリンクをクリックしないようにお願いします。m(_ _)m
 まぁ、大体半年で500円くらいの儲けですかねぇ…。

最新記事
最新コメント
リンク
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR